「うちの子、中学受験を考えてるんです」
「うちは公立一貫校なので“中学受検”なんです」
こんなふうに、“受験”と“受検”という2つの言葉が飛び交う中学入試の世界。
読み方はどちらも「ちゅうがくじゅけん」ですが、この2つの言葉には実は意味や背景に明確な違いがあります。

何が違うの?
今回は、これから中学入試を考えるご家庭のために、「中学受験」と「中学受検」の違いについて、わかりやすくご紹介していきます。
「中学受験」とは?
一般的に「中学受験」と言えば、私立中学校や国立中等教育学校、または一部の公立中高一貫校の入試を指します。
試験内容は、小学校で学ぶ内容をベースにしつつ、より応用的で発展的な問題が出される「教科型入試」が中心です。
主に以下のような科目が出題されます:
- 国語
- 算数
- 理科
- 社会(または3科目)
学力勝負の厳しい世界とも言われ、通塾率も非常に高いのが特徴です。
中学受験は、成績順で合否がはっきり決まるため、**「合格を目指して勉強し、試験を受ける」という意味で“受験”**という言葉が使われます。
「中学受検」とは?
一方、「中学受検」という表現は、主に公立の中高一貫校(いわゆる都立・県立の中等教育学校や中高一貫校)に使われる言葉です。
こちらでは、学力テストの代わりに「適性検査」と呼ばれる、より総合的な思考力・表現力・判断力を問う問題が出題されます。
適性検査とは・・・
- 文章を読み解いて自分の意見を記述する
- 図やグラフを分析して解決策を導き出す
- 算数的思考を応用して文章問題を解く など
これらは学校の教科書の枠を超えた「思考力」「表現力」「論理性」が問われる問題で、従来のペーパーテストとは異なります。
そのため、「学力テスト」というよりは「能力の検査」という位置づけとなり、「受験」ではなく「受検(=検査を受ける)」という言葉が使われるようになったようです。
どうやって使い分けるの?
近年では、塾や教育業界ではかなり明確に使い分けられていますが、日常会話では「受験」にまとめられてしまうことも多いです。
ただし、以下のような使い分けを意識しておくと、情報収集の際にも便利です。
用語 | 対象となる学校 | 試験の特徴 |
---|---|---|
中学受験 | 私立・国立中学校 | 教科ごとの学力試験 |
中学受検 | 公立中高一貫校 | 適性検査・作文・面接など |
※学校によっては「中学入学者選抜」や「適性検査型入試」と表記する場合もあります。
保護者として知っておきたいポイント
- 中学受験を目指す場合は、早めの通塾・教科ごとの対策が重要。特に算数の応用力が合否を分けることも多く、4年生から塾に通い始めるご家庭が多いです。
- 中学受検を目指す場合は、塾によっては専用コース(適性検査対策)を設けているところもあります。また、作文指導や資料分析力を鍛えるトレーニングが必要になります。
どちらも目指す方向性によって準備内容が大きく異なるため、志望校の試験形式をよく確認することが第一歩です。
おわりに
「中学受験」と「中学受検」は、似ているようで全く違う道。
学力テストで勝負するのか、総合的な力を測るのか――子どもの得意分野や性格にも大きく影響してくる部分です。
保護者としては、早いうちからこの違いを理解し、子どもに合った選択肢を見つけることが、無理のない中学入試につながる第一歩になると思います。
もし、まだ方向性が定まっていないという方は、ぜひ一度、地元の中高一貫校の説明会や私立中の学校見学に足を運んでみてください。実際の雰囲気や入試方式に触れることで、将来のイメージがより明確になると思います。
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